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大和ハウス/今期は3000億円投資、冷凍・冷蔵含む全方位で物流施設展開

2024/10/15 更新

大和ハウス工業は10月10日、「2024年度事業計画説明会」を東京本社で開催した。

<執行役員の更科雅俊建築事業本部長>
20241010daiwa1 - 大和ハウス/今期は3000億円投資、冷凍・冷蔵含む全方位で物流施設展開

執行役員の更科雅俊建築事業本部長が説明と質疑応答にあたった。事業施設市場を取り巻く環境から説明し、事業施設事業の経営数値と事業環境、重点取り組みテーマについて解説・説明した。事業施設事業の前期の投資額は2600億円、今期は3000億円だ。物流施設が中心ながら、総合デベロッパーだけあり、生産施設・工場、工業団地、データセンター、さらには大阪・関西万博パビリオン進捗状況まで発表した。

重点取り組みテーマのうち、物流施設関係では、「物流DX『物流2024年問題』への取り組み」について、荷待ち・荷役時間を可視化するシステムをDPL平塚で実施していることを紹介。物流センターの入場ゲート、入出荷バースにAIカメラを設置し、トラックの動きや荷役作業を捕捉することでトラック待機時間や荷役作業の実態を可視化するとともに、それらの改善による物流負荷の低減に役立てるための仕組みだ。

また、「冷凍・冷蔵倉庫への取り組み」については、 「コールドチェーンの需要に応えた、3温度帯(常温・冷蔵・冷凍)を展開している。これまでに冷凍・冷蔵設備物件の実績は34棟、約66万3000m2(約20万坪)あり、今年も7月に竣工したマルチテナント型のDPL大阪舞洲や2026年7月竣工予定のDPL大阪南港I、2026年5月竣工予定のDPL久喜宮代IIで形態は違うものの冷凍・冷蔵倉庫を取り入れる予定」と更科本部長。

<左からDPL大阪舞洲、DPL大阪南港I、DPL久喜宮代II>
20241010daiwa2 - 大和ハウス/今期は3000億円投資、冷凍・冷蔵含む全方位で物流施設展開

確かに、DPL大阪舞洲ではマルチ型で1階から4階を-25℃~5℃、5~7階は常温、DPL大阪南港Iはマルチ型で1階が5℃~8℃、2~5階を-25℃~0℃、DPL久喜宮代IIでは3温度帯に対応しBTS型としている。

更科本部長は「冷凍・冷蔵設備をフルに備えると当然過剰投資になる。あくまでもテナントの需要に沿った形で進める。また、冷凍・冷蔵需要の多いエリアでは、当然それなりのスペックで汎用性のある装備で展開する予定だ」とし、今後のコールドチェーンの需要に大きく応える展開を表明した。

2024年問題でのテナントや顧客の反応については、「トラックドライバーの時間外労働時間の上限により、中継基地あるいは拠点等の問い合わせが増えた。拠点の数を増やす動きが顕著。また、全体的なリーシングについては3年くらい前は竣工即満床という形だったが、今は約1年ほどかけてじっくりと決まっているという感じ。元々、竣工して1年くらいで満床にもっていこうと計画を立てていたが、数年前まではそれがちょっと異常だった。今は供給量が多くなっていることもあり、満床まで1年程度かかるが、需要については依然として堅調」と更科本部長は話している。

ただ、建設コストの高騰、資材費の高騰、人手不足等で、工期の日程が若干不安定化していることも事実だという。

なお、大和ハウス工業の事業施設事業の売上高は2023年度通期実績が1兆2944億円、営業利益が1232億円、営業利益率は9.5%だったが、2024年度通期計画では1兆3400億円、営業利益は1415億円、営業利益率は10.6%の見込みとなっており、2026年度計画の売上高1兆3000億円を既に達成している。2024年度は請負工事の採算性も改善傾向にあるなか、セグメント全体では物流施設を中心とした開発物件売却の堅調な推移から、通期計画の売上高・営業利益を上方修正している。