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アマゾン/持続可能なラストワンマイル物流へ 産学官で「共創」語る

2024/08/15 更新

アマゾンジャパンは8月7日、「持続可能なラストワンマイル物流に向けての共創」をテーマとする第10回Amazon Academyを本社で開催した。物流の2024年問題を踏まえ、ドライバー不足などの課題にどう向き合うか、産学官の代表者らが登壇した。

開催にあたりジャスパー・チャン社長は、物流・配送のネットワーク構築のため、従来の投資額(毎年数千億円)に追加し2024年はさらに250億円以上を投資すると発表。デリバリーステーションの増設や配送パートナーの拡充を重点投資分野の一つとした。

続く基調講演では、国土交通省 物流・自動車局の紺野博行 物流政策課長と、東京女子大学 現代教養学部の二村真理子教授が、それぞれ政府の政策や現状と課題について講演した。

<国交省の紺野博行 物流政策課長>20240808amazonacademy1 - アマゾン/持続可能なラストワンマイル物流へ 産学官で「共創」語る

紺野課長は、トラック運送事業者の9割を中小企業が占める点や、ドライバーの労働時間が全産業平均と比べ約2割長いうえ年間賃金は5~15%低い点などを挙げ、労働環境の改善と人手不足の解消が課題だとした。

ドライバーの時間外労働の上限規制が4月から始まり、輸送力不足が見込まれる一方、事業者の間では物流危機に問題意識を持っているのは8割に達しながら、取り組みを実施しているのは5割にとどまると指摘。

政府としては改正物流総合効率化法・トラック法施行に向け、物流業界の多重下請け構造の是正、標準的運賃の見直しなどにも取り組むとし、「『商慣行の見直し』『物流の効率化』『荷主・消費者の行動変容』が物流革新に向けた政策の3本柱。荷主や物流事業者、消費者が一緒に取り組んでほしい」と呼び掛けた。

<東京女子大学の二村真理子 教授>20240808amazonacademy2 - アマゾン/持続可能なラストワンマイル物流へ 産学官で「共創」語る

二村教授は、人材不足に関し「どう物流業界に人を入れていくか。女性の積極採用、高齢者の雇用延長、さらには障害者の活躍も進められたら」と強調し、それには多様で柔軟な働き方の実現が不可欠だとした。

ただ、例えば、総合職として入社した女性が「管理職を目指すからには現場も知っておきたい」と考えていても、人事は「女性に現場は大変だろう」と配慮して現場に配置しないなど、意識のズレも実は存在することがあると指摘。「コミュニケーションを密に取ることで離職を防ぎ、トイレや更衣室の整備など必要な投資も惜しまないことだ」などと述べた。

またラストワンマイル配送については、「自転車や徒歩で配達するなど、多様な担い手を確保することも大事」としたほか、「再配達される宅配便は物流量全体のほんの一部と言われがちだが、再配達削減に取り組むことは消費者が『自分事』として直接貢献できる部分。意識変革と行動変容に効果的なのでは」とも語った。

<左から中村誠氏、高山芽衣氏、小池泰弘氏、角井亮一氏、ジャスパー・チャン氏>20240808amazonacademy3 - アマゾン/持続可能なラストワンマイル物流へ 産学官で「共創」語る

なお、同日は、イー・ロジットの角井亮一 会長、ENEOSの小池泰弘 執行理事プラットフォーマー事業部長、高山芽衣 Passion monster社長、中村誠 三井不動産レジデンシャルリース経営企画部長が登壇するパネルディスカッションも行われた。

ラストワンマイルに携わる企業や、配送パートナーが登壇し、各社の取り組みやテクノロジーを駆使したプログラム、ドライバーのウェルビーイング向上などについて考察した。

「置き配がこれほど定着したのはドライバーにも受取手にもよい仕組みだから」と角井氏。また小池氏からは、ガソリンスタンドをラストワンマイル配送の中継拠点として活用する取り組み、中村氏からは、アマゾンと協業のうえオートロック付き賃貸マンションに置き配の環境を整備する取り組みが報告された。DSP(デリバリーサービスパートナープログラム)に参画している高山氏は「ドライバーが仕事に誇りを持てることが大事。イメージ向上を」など、ラストワンマイルを未来へどうつなぐか、積極的な意見が交わされた。