岸田首相/関係閣僚会議で方針「無人物流網」30年代半ば実装へ
2024/07/29 更新
岸田総理は7月25日、総理大臣官邸で第5回我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議を開催した。
2024年4月から約4か月が経過し、政策パッケージに盛り込まれた対策を具体化した改正物流法が今年5月に公布されたことをふまえ「物流革新に向けた政策パッケージ」の進捗状況と今後の対応について議論した。
議論をふまえ総理は、官民連携で物流革新を実現していくため、物流効率化、商慣行の見直し、荷主・消費者の行動変容を3本柱とした今後の対策について方針を示した。
物流効率化に向けては、6月に官民協議会で決定した「標準仕様パレット」について政府を挙げて普及を図っていくよう要請。そのうえで、自動フォークリフト、自動倉庫など即効性のある設備投資と、鉄道・海運へのモーダルシフトを重点的に支援する。
さらに2030年代半ばまでに「無人物流網」構築を目指す考えを明らかにした。具体的には全国の高速道路網における自動運転サービス支援の標準化や、東京-大阪間で構想している「自動物流道路」について2027年度までに実験を行い、2030年代半ばまでに第1期区間で運用開始を目指す。
ダブル連結トラックについても通行区間を拡充する。初となる北海道、首都高速及び阪神高速、災害時の迂回路となる上信越道、北陸道、中国道等で通行区間等が対象となる。
このほか自動運航船の商用運航を目指した制度設計や、ドローン物流網構築のための航路整備なども進める。
航空物流では成田空港の機能強化を進める。圏央道整備を見据え、地元自治体と連携し、特区の活用も視野に国家プロジェクトとして機能強化に取り組む。
賃上げを含む商慣行の見直しについては、改正物流効率化法を原則として来年4月に施行し、実効性のある判断基準を設定するなど、次の春闘に間に合うよう準備を加速する。
さらに構造的賃上げに向け、11月から12月を集中監視期間とし、トラックGメンの機能強化を行うとした。
荷主・消費者の行動変容に向けては、コンビニ受取、置き配等を選択した消費者にポイントを還元する事業を10月から実施する。国として1配送あたり最大5円を支援し、アマゾンやヤマト運輸が参加する。あわせて、送料無料表示の実効性のある見直しを行い、これを改正物流効率化法に基づく基本方針に盛り込むとした。