C&FロジHDの全普通株式2155万7194株を取得し、完全子会社化を目指す。
買付価格は1株あたり5740円でAZ-COM丸和ホールディングスの提示した3000円を大きく上回る。
全株式を取得する場合の買付代金は1237億3829万3560円にのぼる。
<都内で開かれた会見。左からC&FロジHDの武藤 彰宏 専務、同社 綾 宏將 社長、SGHD 松本 秀一 社長、同社 本村 正秀 取締役(佐川急便社長)>
5月31日夕方に都内で開かれた会見では、SGHDとC&FロジHDの両社長が登壇。TOB開始までの経緯や、買収完了後に想定しているシナジー効果等について語った。
両社は、SGHDグループの佐川急便が、2022年8月からC&FロジHDグループの名糖運輸へ飛脚クール便の物流加工業務を委託したことから協業をスタート。以降、取扱業務は拡大し、双方の人材交流について対話を始めるなど交流を深めていたという。
そうしたなか、2024年3月にAZ-COM丸和HDがC&FロジHDへTOB実施を表明したことを機に、SGHDは4月からC&FロジHDへのTOBの検討を開始し、このたびのTOB実施に至った。
C&FロジHDについて、SGHDの松本 秀一 社長は「Win-Winの関係になれる大切なパートナー」とし、「低温物流ではC&FロジHDが上流~中流、SGHDが下流のラストワンマイルを担っており、重なる部分が少なく、事業を相互に補完できる領域が広い。両社が組むことで国内屈指の一貫コールドチェーンを構築できる」と、大きなシナジーが見込めるとした。
一方、C&FロジHDの綾 宏將 社長は、SGHDによる買収提案について、「買付価格が複数いる提案者のなかで最も高額で、内容も優れた提案だった」としたうえで、「自社への理解の深さや、中長期成長へのシナジーが見込めること、お互いの強みや資産、ノウハウを融合して取り組んでいこうとする姿勢に共感した」と賛同した理由を語り、「SGHDグループ入り後は、低温物流のリーディングカンパニーとしてこれまで以上に社会に貢献していきたい」と、意気込みを述べた。
両社のシナジーを用いた具体的な施策については、一貫コールドチェーンによる食品ECや、ふるさと納税、国が拡大を目指す食品輸出などの業務の取り込みを図るとしており、今後は互いの物流網を把握し、車両や施設の相互活用を検討しつつ、具体案を詰めていくとしている。
SGHDは、5月31日の取締役会でTOBの実施を決議しており、6月3日に公開買付届出書を提出する。買い付け期間は6月3日~7月12日までの30営業日。
SGHDによるTOBについてC&FロジHDは賛同の意見を表明しており、株主に対して公開買い付けへの応募を推奨している。
完全子会社化によるシナジーとしては、「SGHDグループの営業体制と顧客基盤の活用」「コールドチェーン物流の効率化」「国際・海外向けサービスの強化」「メディカル関連分野の拡大」「食品加工メーカーの自家物流の取込み」を見込んでいる。
なお、SGHDは、TOB完了後のC&FロジHDの経営体制について、現執行体制を前提としつつ、SGHDグループから社外取締役などを派遣する等、SGHDグループの経営体制やガバナンス体制を踏まえた形への意向に向けた調整を進めることを検討している。