経済と貨物輸送の見通し/国内貨物輸送の総輸送量は2025年も微減傾向
2025/04/07 更新
NX総合研究所は4月4日、「2025年度の経済と 貨物輸送の見通し(改訂)」と「荷動きの実績(見込み)と見通しの『荷動き指数』(速報値)」を発表した。
<荷動きの実績(見込み)と見通しの『荷動き指数』(速報値)>
「荷動きの実績(見込み)と見通しの『荷動き指数』(速報値)」では、2025年1~3月実績の国内向け出荷量『荷動き指数』は1ポイント低下。2025年1~3月実績の業種別『荷動き指数』においても、プラスの業種は皆無としている。
「2025年度の経済と 貨物輸送の見通し(改訂)」の経済面では、2025年度については、前年度における低調の反動もあり、主要な需要項目に総じて改善が予測されるものの、いずれも大きな伸びは期待できず。実質経済成長率は1.0%増と加速も、力強い回復は見込めない、としている。
2025年春闘におけるベースアップ率がさらに上昇する見込みながら、賃上げの恩恵を受ける層は限定的。消費者物価(生鮮品を除く)に3%弱の上昇が予測される中で、実質可処分所得の伸び悩みなどを受け、個人消費は0.8%増にとどまる、としている。
設備投資は1.5%増と前年度よりいくぶん加速。国内企業物価の高止まりに加え、内外経済の先行き不透明感が根強く残るため、投資マインドが下押しされるリスクは依然として払しょくされない。
輸出は、引き続きインバウンド需要の盛り上がりが期待できる一方、世界経済の足踏みに加え、円高の進行が予測されることから、2.4%の増加にとどまる。内需がいくぶん上向く中で、輸入は1.9%増となり、この結果、外需の寄与度は小幅なプラスになると予測している。
貨物輸送については、国内貨物輸送の総輸送量は2024年度通年で1.4%減、2025年度も0.3%減と低迷。2025年度の総輸送量については、上期が1.7%減と引き続き減少した後、鉱工業生産の持ち直しなどを背景に、下期は1.0%増とプラス水準への浮上を予測。ただし、通年では0.3%減と引き続き低迷し、4年連続の減少となる見通しだ。
品類別輸送量では、消費関連貨物は、個人消費が伸び悩むものの、物価上昇に伴う輸送量の下押し効果はいくぶん弱まる。さらには夏場における飲料需要などが引き続き底上げに寄与すると期待されることから、上期は堅調な推移を予測。一方、下期については、個人消費の伸びの鈍化に加え、前年同期における大幅増の反動により弱含みが避けられない。トータルでは0.8%増と予測。
生産関連貨物は、鉱工業生産が3年連続でマイナスとなった反動もあって、小幅ながらプラスへの反転が期待できることから、0.8%増を見込む。主力である鉄鋼に大きな盛り上がりが期待できず、化学工業品も振るわない一方、機械・機械部品には底堅い推移を予測している。
建設関連貨物は、公共投資の伸び悩みに加え、大規模公共土木工事の執行が期待できないこと、さらには新設住宅着工戸数の増加も見込めない中、1.8%減と引き続き低迷。前年度における大幅減の反動などからマイナス幅は縮小も、引き続き総輸送量を下押し、としている。
輸送機関別輸送量(2025年度)では、JRコンテナは、ドライバー不足を背景とした自動車からの需要のシフトが期待できることや、リニア中央新幹線建設工事に伴う発生土の輸送などがプラス要因。1.4%増と前年度に続き2年連続のプラスに。
JR車扱は、大きなウエートを占める石油には堅調な荷動きを予測。一方、前年度10~12月期における大幅増に対する反動減に加え、一部荷主の貨物が輸送中止になると予想されることを受け、0.9%減と4年ぶりのマイナスに。
営業用自動車は、消費関連貨物および生産関連貨物が堅調に推移するも、建設関連貨物が振るわず、トータルでは0.2%増と微増。
そのほか、内航海運は、鉱工業生産の持ち直しなどを受け、主力の石油製品を中心に生産関連貨物の増加を期待。建設関連貨物にも小幅な増加が見込まれ、トータルでは2.2%増に。国内航空は、大手宅配便事業者の貨物専用便運航による輸送量押し上げ効果が寄与し、トータルで7.3%増と引き続き高い水準を維持すると予測している。